オリーブの木は、インテリアグリーンとしても人気であり、シンボルツリーとしても愛されています。
しかし、剪定を怠ると、病害虫のリスクが高まったり、光合成が困難になる、ひょろひょろになってしまうなど、さまざまな悪影響が出る可能性があります。
結論から言うと、ひょろひょろになってしまうのは剪定の時期を間違えてしまった事が原因です。
オリーブは四季に応じて異なる成長段階を経ます。
春には新芽を芽吹き、夏には日光を利用して栄養を生産し、そして春に開花します。冬には休眠期に入り、秋には冬を越すための栄養を蓄えます。
この四季折々の成長を考慮して、オリーブの剪定を行う必要があります。
最適な剪定時期は冬の時期で、具体的には2月から3月の間が適しています。
オリーブは春に急速に成長するため、春前の2〜3月に剪定を行うことで、木にかかる負担を最小限に抑えることができます。
この記事では、オリーブの木の剪定方法について詳しく説明します。
元気なオリーブの木を維持し、育てるためのヒントを見つけましょう。
オリーブの剪定タイミング
オリーブの木を剪定する適切な時期は、2月中旬から3月です。
成長が速い成長期に剪定すると、多くの樹液や水分が失われ、切り口が適切に癒合しない可能性があります。
また、剪定した切り口から感染病原菌が侵入し、木が枯れる可能性があります。
2~3月は休眠期から成長期に移行する時期で、剪定に適しています。
外観や害虫予防の観点から、この時期に思い切って剪定することができます。
オリーブを剪定するメリット

オリーブの剪定には以下の3つのメリットがあります。
木の高さや枝の広がりを抑えてコンパクトに育てられる
オリーブの成長速度は非常に速く、長期間放置すると大きくなりすぎます。
特に鉢植えや室内で栽培している場合、コンパクトなサイズを維持することが重要です。
定期的な剪定によって木の高さと枝の広がりを管理し、適切なサイズに保つことができます。
理想的な高さは2m〜3mです。
日当たりと風通しが良くなり、病害虫の発生を予防できる
オリーブの葉は茂りやすく、過度な茂りは風通しを妨げ、株が蒸れやすくなります。
これによって病害虫の発生リスクが高まります。
剪定を行うことで樹冠の通気性が向上し、日当たりも改善され、病害虫の予防に役立ちます。
枯れた枝を取り除いたり、樹形を整えたりして見栄えを良くできる
オリーブの苗木はしばしば上にだけ成長し、細く伸びてしまうことがあります。
これは樹形の基盤が不足しているためです。
剪定によって枝分かれを促すことで、横向きに成長させ、美しい樹形を維持できます。
また、剪定は既に枯れた枝を取り除くためにも役立ち、樹木の見栄えを向上させ、病害虫の予防にも寄与します。
これらのメリットを享受するために、剪定の適切な時期とタイミングを把握し、定期的に剪定作業を行うことが重要です。
オリーブの木を剪定するのに必要な道具
オリーブの木を剪定する際に必要なものは以下の通りです。
- 剪定ばさみ
- 剪定のこぎり
- 創傷部癒合剤
- 脚立
近年、これらの道具はホームセンターや100円ショップで手に入れることができ、予算を抑えながら手に入れることができます。
ただし、剪定ばさみやのこぎりなどの刃物は、低価格のものでは切れ味が不足することがあるため、品質には注意が必要です。
オリーブの木の剪定方法
オリーブの木の剪定には2つの主要な方法があります
“強剪定” と “間引き剪定” です。オリーブの木の成長状態や望む形に合わせて、どちらの方法を試すかを検討しましょう。
強剪定
強剪定は、オリーブの木の休眠期に行う樹形を変更する剪定方法です。
2月中旬から3月に剪定を行うと、木への負担が最小限に抑えられます。強剪定の手順は次の通りです。
- オリーブの木を細部まで調べる
- 木の骨格を決定し、大きく成長した枝を中心に剪定する
- 実を付けるために残したい枝は維持し、それ以外の枝を剪定する
- 2cm以上の大きな切り口には創傷部癒合剤を塗布して保護する
間引き剪定
間引き剪定は、成長や外観に影響を及ぼす可能性がある枝を取り除く剪定方法です。
間引き剪定は、休眠期に限らず、3~4月の成長期にも実施できます。間引き剪定の手順は次の通りです。
- 最終的なデザインをイメージする
- 混み合った枝、傷ついた枝、または枯れた枝があれば、根元から切り落とす
- 逆向きまたは同じ枝から平行に出ている2本の枝がある場合、どちらか1本を残しつつもう一方を剪定する
なお、葉と葉の間にはさみを入れる方法(切り戻し)を同時に行うと、葉芽が増加する反面、花芽が失われる可能性があることに留意し、オリーブの実を望む場合は切り戻しの方法に慎重に取り組むべきです。
オリーブの剪定する枝の見分け方

オリーブの剪定時には、以下のような不要な枝を識別しながら剪定を行いましょう。
- 徒長枝(とちょうし): 幹や主幹から急速に伸びる長く太い枝。花がつきにくい特性があります。
- 内向枝(ないこうし): 内側に向かって伸びる枝で、逆さ枝とも呼ばれます。枝の密集を引き起こす原因となります。
- 下り枝(さがりえだ): 下向きに成長する枝。
- 交差枝(こうさし): 他の枝と交差する枝で、からみ枝とも呼ばれます。枝同士のこすれによって傷つき、病原菌が侵入する可能性があります。
- 立ち枝(たちえだ): 上向きに伸びる枝で、横に伸びる枝と交差しやすく、日当たりの悪化の原因となります。
- 平行枝(へいこうし): 他の枝と平行に同じ方向に伸びる枝。
- ひこばえ: 株元から生えてくる枝。
ただし、徒長枝と平行枝については、他の不要な枝を剪定した後で、樹形をより調整するために剪定することがあります
これらの枝は緊急性の高い剪定が必要な枝ではなく、慎重に検討しながら剪定作業を進めましょう。
オリーブの剪定のコツ
剪定の位置
花芽は先端から中間部に集まるので、剪定は芽の上から約5mmの位置で行います。
オリーブの花芽の多くは枝の先端から中間部に集中しています。
したがって、剪定を行う場合、枝先を切り取っても実を結ぶ可能性があります。
このため、剪定を行う際には芽の上から約5mmの位置で切断しましょう。
太い枝の剪定方法
太い枝を剪定する場合、枝の先から約10〜20cmの位置に切り込みを入れてから剪定します。
太い枝を剪定する場合、うまく切り取れないと樹皮が剥がれ、病害虫の侵入や枯れの原因となることがあります。
したがって、枝を切断する位置から約10〜20cmの位置に切り込みを入れ、その部分からさらに枝に向かって約5〜10cmの切り込みを入れ、枝を曲げた後に、剪定用のノコギリなどで切り取ることをお勧めします。
癒合剤の塗布
切り口には癒合剤を塗り、病気の予防に努めます。
枝を綺麗に剪定できても、切り口から病原体が侵入してしまう可能性があります。
これを防ぐため、切り口には癒合剤を塗布しましょう。
特に直径が2cm以上の枝には十分な量の癒合剤を使用しましょう。
植えたばかりのオリーブの場合
植えたばかりのオリーブの木の場合、剪定は不要です。
植えたばかりのオリーブの木の場合、枝が密集せず、葉も繁茂していないと思われます。
そのため、この段階では剪定は必要ありません。
逆に、若い苗木の段階で剪定しすぎると、木が弱体化する可能性があるため、注意が必要です。
オリーブの木を剪定する理由
オリーブの木の剪定は、樹形を調整して成長環境に合わせるために行われます。
住宅や敷地のスペースが限られているため、樹形を維持することは重要で、放置すると問題や障害を引き起こす可能性があります。
オリーブの木は急速に成長し、1年で数10センチもの新しい枝を伸ばすことがあるため、定期的な剪定が必要です。
成長を進めるのはうれしいことですが、無制限に成長させると手入れが難しくなり、近隣住民からの苦情の原因となることもあります。
オリーブの木を剪定する際に考慮すべき注意点は次の2つです。
剪定後の樹形を想像する
剪定前に望む樹形を明確にイメージしておくことが重要です。
思いつきで枝を切ると、予想以上に枝が減少し、望まない樹形になる可能性があります。
剪定作業を開始する前に、理想的な樹形について画像などを参考にして考えてみましょう。
実を収穫する予定の場合は枝を慎重に切る
剪定時には傷んだ枝や弱った枝、枝が密集している場所を整理することは問題ありません。
ただし、実を収穫したい場合は、実をつける可能性のある枝を残すように注意が必要です。
見た目だけでなく、収穫の要因も考慮して剪定を行いましょう。
オリーブの木の剪定で失敗しないために最も重要なコツは、適切な剪定時期を守ることです。
適切な時期でないとオリーブの木に重大な損傷を与え、最悪の場合、木が枯れることもあります。
オリーブの木は成長期が早く、通常の植物よりも早い時期に成長します。
そのため、2月中旬から3月に剪定することが最適です。
この期間中に剪定を行うことで、植物は適切に回復し、健康的に成長します。
鉢植えや室内のオリーブの剪定方法
鉢植えや室内で育てているオリーブの木を美しい樹形で保つために、間引き剪定を行いましょう。
樹高を維持したい場合は、現在の高さを維持しつつ、密生している枝や傷んだ枝を中心に剪定しましょう。
オリーブの剪定ガイド!ひょろひょろを回避!誤ったタイミングでの注意点|まとめ
本記事では、オリーブの木の剪定方法についてご紹介しました。
オリーブの木は縁起のいい植物として広く愛されており、その柔らかい風合いは何度見ても魅力的です。
しかし、剪定を怠ると病害虫に悩まされ、木が衰える可能性もあるので注意が必要です。
オリーブの木を大切に育て続けたいなら、ぜひこの記事を参考にして剪定を行ってみてください。